その昔は日本国中に草地が広がっていました。採草目的で屋根の材料や牛馬の餌、肥料などに用いるために、広い面積が必要でした。その名残が野津田公園にはあります。カヤ場とか葉場山などと呼ばれていました。

この公園ではススキ草地と呼んでおり、ススキやオギが優占しています。毎年春先に火入れすると良い草が取れるのですが、今は燃やせず冬場の草刈りだけで草地を維持しています。そのせいか、セイタカアワダチソウやクズなどもはびこっています。
ススキの根元にはナンバンギセルの花がありました。ススキから栄養をもらっている寄生植物(つまりパラサイト)です。

ススキの間を刈り込まれた道を行くと、次々とバッタの仲間が現れます。まずはショウリョウバッタモドキです。

葉っぱに成りきっていますね。人が近づくと横に這いながら葉っぱの裏側に隠れます。それが何とも言えずおかしいです。
次はモドキのない、正真正銘のショウリョウバッタ(♀)です。

飛ぶと「キチキチキチ」と音がするので、キチキチバッタとも呼ばれています。
バッタの次はキリギリスです。「チョンギース」って鳴いています。あっ間違い。これは♀なので鳴きません。

ちょっとした裸地にはクルマバッタモドキがいます。クルマバッタに似ていますがだいぶ小振りです。

草刈りがしにくい崖では花がたくさん咲いています。
ユリの仲間のノカンゾウです。

近い仲間のヤブカンゾウより清楚で美しいです。そして草原といえばこの花

そう、ツリガネニンジンです。昔からトトキと呼ばれ山菜としておいしいそうですが、数が少ないので取ってはいけません。
わーっ、と賑やかに咲いているのはセンニンソウです。

千人草ではなく仙人草と書きます。これは花が咲いた後の実を見ると何となくわかりますよ。
草地にも秋の花が咲き出し、バッタ類がたくさん見られるようになりました。まだ残暑はありますが、秋の気配が漂っています。夜になれば虫のコーラスが聴かれるでしょう。
ネイチャーガイド・フォーゲルでは、鳴く虫の声を聞くツアーを8月30日の夕方に計画しています。あまり聞くことができなくなった秋の虫の鳴き声を聞いたり、夕方から咲く花を見たりしませんか。
ツアーのチラシ http://www006.upp.so-net.ne.jp/guide_Vogel/noduta0830.pdf
ツアー一覧 http://www006.upp.so-net.ne.jp/guide_Vogel/tour.html